利回り4.9%の罠に気づかなければ、同じ失敗を繰り返す。
深夜、嫁と息子が寝静まった後、スマホをこっそり開いてホンダの決算発表資料をスクロールしていた。部屋が暗い中で画面の光だけが眩しくて、「上場以来初の最終赤字」という文字を読んだ瞬間、思わず息をのんだ。EVに振り切った結果がこれか——と。眠いのに眠れなくて、気づいたら1時間以上財務データと睨み合っていた。
ホンダが「上場以来初の赤字」に転落した本当の理由
2026年5月14日、ホンダ(本田技研工業・7267)が2026年3月期の決算を発表した。
売上収益は21兆7,966億円と過去最高水準。でも、営業損益は4,143億円の赤字。最終損益は4,239億円の赤字。1957年の東証上場以来、初めての年間赤字だ。
「車が売れなかった」のではない。問題の根源はひとつ、EV関連損失1兆5,778億円の一括計上だ。
EVへの「全振り」がなぜ裏目に出たか
ホンダは2021年、三部敏宏社長の就任直後に「2040年までに全車EV・燃料電池車にする」と宣言した。この方針のもと、韓国のLGエナジーソリューションとオハイオ州に44億ドル投資してバッテリー合弁工場を建設するなど、EV関連の累計投資は3兆円を超えた。
ところが、2025年1月に誕生したトランプ政権がEV補助金を打ち切り、米国のEV市場が急速に冷え込んだ。北米だけで年間150万台規模の販売予測と実績が乖離。ソニーとの合弁EV開発も中止。一気に方針転換を余儀なくされた形だ。
俺の見方を正直に言う。EVへの全振りは、最初から疑問だった。
確かに走行時のCO2は減る。でも発電所は今も化石燃料で動いている。バッテリー製造のエネルギー消費、廃棄コスト、工場建設のCO2——全ライフサイクルで見たとき、ハイブリッドと比べてEVが本当に「環境に優しい」のかは、数字が全然クリアじゃない。
日本には世界最高水準のハイブリッド技術がある。それを捨ててEVに突っ込むことに、俺はずっと納得できていなかった。
トヨタが「全方位戦略」で生き残ったのは、「規制の動向」より「市場の実態」を見ていたからだ。ホンダは規制動向に引きずられ過ぎた。
参考:ホンダEV戦略の転換について
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d01225/
それでも——「本業は死んでいない」
ここが今回の決算の重要なポイントだ。
EV損失を除いた調整後営業利益は1兆393億円。二輪事業は過去最高の営業利益を達成。世界シェア1位の二輪事業が、四輪回復までのキャッシュ創出エンジンとして機能し続けている。
現金及び現金同等物は5兆1,184億円。営業キャッシュフローは1兆1,352億円の黒字。配当を払う体力は、まだある。
そして2027年3月期の業績予想は営業利益5,000億円・最終利益2,600億円の黒字回復。市場コンセンサス(356億円の赤字予想)を大きく上振れる内容に、決算翌日の株価は一時9%急騰した。
参考:2026年3月期決算速報
https://bestcarweb.jp/news/business/1519962
高配当投資家として俺がホンダをどう評価するか
俺の銘柄分析フィルターにかけると
今の株価1,430円(2026年5月15日)、予想配当利回り約4.90%、予想配当70円。数字だけ見ると確かに魅力的だ。
でも俺のフィルターで見ると、こうなる。
https://global.honda/jp/investors/policy.html
▼増配の質
連続増配年数ゼロ。過去に減配歴あり。今期も赤字の中で増配(68円→70円)したこと自体は評価できるが、「DOE3%目安」という新指標がどこまで機能するかはまだ実績がない。
▼財務の安全性
自己資本比率35.3%。俺の基準40%を割っている。有利子負債も増加傾向。現金5兆円という点は強みだが、EPS赤字は今期限りの一過性かどうかの確認が必要。
▼稼ぐ力
売上21兆円規模、二輪営業利益率18%。本業の稼ぐ力は本物だ。
▼経営の意志
ハイブリッドへの明確な回帰、15車種投入計画、自社株買い1兆1,000億円の決議。株主還元の意志は伝わる。
参考:ホンダ株主還元ページ
https://global.honda/jp/investors/stock_bond/returningprofits.html
俺が指値を入れる具体的なライン
- 第1指値(打診):1,200円以下
→ 配当利回り5.8%超。打診買いのみ。
- 第2指値(本格買い増し):1,050円以下
→ 配当利回り6.6%超。PBR0.4倍割れ。ここまで来たら積極的に動く。
売り判断トリガー:自己資本比率30%割れ、来期黒字回復失敗、配当維持困難の兆候。
俺が過去にやらかした失敗
「利回りが高い」という理由だけで、配当性向80%超の銘柄を買ったことがある。当然、翌期に減配。株価も落ちた。ダブルパンチだ。あの経験があるから、今のホンダに対して「表面の利回りだけで飛びつかない」と決めている。
配当性向が高い局面の銘柄は、必ず「利益が回復するかどうか」を最優先で確認する。ホンダの2027年3月期第1四半期(7月発表予定)でハイブリッドの販売進捗と四輪の黒字転換の兆しが確認できるかどうか——これが次の判断ポイントだ。
俺なりのまとめ——ホンダは「見守る銘柄」
ホンダは「破綻しそうな会社」では全くない。二輪事業という世界最強の稼ぎ頭があり、ハイブリッド回帰という正しい方向への転換を打ち出した。1,200円以下まで下がれば、俺は少量から仕込む。
ただし今の1,430円で飛びつくには、まだリスクが大きい。俺の軸は「数字に誠実であること」。感情と雰囲気で動かないこと。これが5,000万円のローンを抱えながら配当収入を積み上げていく唯一の方法だと、俺は信じている。
参考:ホンダのハイブリッド回帰戦略の全容
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/94590
参考:ホンダ決算と業績回復シナリオ
https://www.fptrendy.com/2026/05/15/honda-ev-strategy-first-annual-loss/
もっと深い数字が見たい人へ。
「指値ラインの根拠」「一条ローンを返しながら配当を積む我が家のリアルな収支」「1年目〜20年目の配当シミュレーション」——これは全部noteの有料記事に入れた。ブログに書けないことを全部ぶちまけてある。興味があれば覗いてみてくれ。
https://note.com/lively_tulip856/n/n0fc4956b385d
【免責事項】本記事は個人の見解に基づく情報提供であり、特定の投資銘柄の売買を推奨するものではありません。投資は必ずご自身の判断と責任のもとで行ってください。株式投資には価格変動リスクがあり、元本が保証されるものではありません。


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