INPEX(1605)高配当株分析|5期連続増配の実力と死角を徹底解説

パパの増配当株

INPEX(1605)は5期連続増配。自己資本比率・増配率・配当性向を私独自のフィルターで徹底解剖。資源株特有のリスクも包み隠さず語ります。

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先週の夜、子どもが夜泣きで起きた。抱っこしながら、ふと気づいた。
一条工務店のローン残高を頭の中で計算していた。50年ローン。変動金利。毎月引き落とされる13万円という数字が、暗闇の中で浮かんでくる。
そのとき手元のスマホで開いていたのが、INPEXの決算短信だった。

INPEXとは何者か——「日本政府が黄金株を持つ」唯一の上場資源企業

INPEX(東証プライム・証券コード1605)は、日本最大の石油・天然ガス開発企業だ。
2006年に国際石油開発と帝国石油が合併して誕生した。現在、経済産業大臣が「甲種類株式」(通称・黄金株)を保有しており、敵対的買収が事実上不可能な構造になっている。
主力事業は豪州沖の「イクシスLNGプロジェクト」。日本企業が主導する史上最大規模のLNGプロジェクトであり、毎年安定的に巨大なキャッシュフローを生み出している。

私のフィルターでINPEXを斬る——4つの基準で徹底評価

① 増配の質——「利回り」より「増配の継続性」を見よ


高配当投資家として最も重視するのは、配当利回りの高さではなく「増配が続く確実性」だ。
その視点でINPEXを見ると、データが語る。

2020年12月期から2025年12月期の5年間で、年間配当額は24円から100円へと4.1倍に増加している。
5年で4倍。単純にすごい。
2025-2027中期経営計画では、1株あたり年間90円を起点とする累進配当を実施する方針を明示しており、累進配当をベースに機動的な自己株式取得も組み合わせ、総還元性向50%以上を目指している。
「累進配当」という言葉に注目してほしい。これは「前期比で維持または増配」を約束する制度だ。減配リスクに神経質な長期投資家にとって、これほど安心できる言葉はない。
ただし、正直に言う。
連続増配年数は5〜6期。これは弱点だ。
私が最も好む銘柄は10年以上の連続増配実績を持つ企業だ。INPEXはまだ道半ば。2020年以前のコロナ禍では減配も経験している。「累進配当の約束」が実際に景気後退・原油急落局面でも守られるかどうか、ここ数年が正念場と考えている。

② 財務の安全性——「借金体質の資源会社」という先入観を壊す


資源株に対してよく言われる批判がある。「借金まみれの設備投資型企業じゃないか」というものだ。
2024年12月期末時点のINPEXの総資産は約7兆7,352億円にのぼる。
数字が大きいので心配になるかもしれないが、資本構成を見ると印象が変わる。
2024年12月期末の資本合計は5兆1,378億円で、このうち親会社の所有者に帰属する持分は4兆8,218億円。
総資産7兆7千億円に対し、自己資本は約4兆8千億円。
計算上の自己資本比率は約62%。私のフィルター基準「40%以上」を大幅にクリアしている。
直近の有利子負債残高は約1兆2,447億円。
有利子負債約1.2兆円 ÷ 自己資本約4.8兆円 = 有利子負債比率は約0.26倍
私の基準「0.5倍以下」を余裕でクリアだ。
財務・経理本部長の山田氏はインタビューで、「ネットD/Eレシオが財務規律上の下限である0.3倍まで低下し、財務体質の健全化を果たした」と述べており、今後は投資と還元を強化するフェーズに転換することを明言している。
借金を返し切った会社が、次のステージで株主還元を増やすと言っている。これは素直に評価できる。

③ 稼ぐ力と還元——配当性向25%という「余白」の意味


2024年12月期の配当性向は24.90%だった。
25%未満というのは、私のフィルター「50%以内」に照らして非常に健全だ。
利益の4分の1しか配当に回していない、ということは、残り4分の3が内部留保・投資・自社株買いに使える。今後の増配余力が非常に大きい。
2024年12月期決算は増収増益で、売上高2兆2,000億円超え、営業利益1兆2,000億円超え、当期利益4,273億円となり、2022年度(史上最高)に次ぐ第2位の決算となった。
一方で、正直に書かなければならないリスクがある。
2025年12月期の連結最終利益は前期比7.8%減の3,938億円で着地し、2026年12月期も前期比16.2%減の3,300億円に減る見通しとなっている。
利益は減少トレンドにある。原油価格の下振れと円高が主因だ。
それでも——配当は増え続けている。
2025年12月期の年間配当は前期比8円増の108円への増配が発表されており、利益が下がる中でも株主還元の姿勢は崩していない。
利益が減っても増配する。これが「実質累進配当」の本質だ。ただし、この状態が永続するわけではない。利益の下落が続けば、いつかは増配ペースが鈍化するか、減配リスクが生まれる。
このあたりの限界線については、有料記事で詳しく数値シミュレーションを公開する予定だ。

④ 経営者の意志——上田隆之社長は「株主に本気で向き合う」経営者か


代表取締役社長は上田隆之氏。東大工学部出身で、旧国際石油開発時代からのキャリアを持つ技術系の経営者だ。
上田社長は決算説明会で「還元は、90円をフロアとした累進配当、総還元性向50%以上ということだ」と明言しており、目標数値を公の場で約束している。
「絵に描いた餅」ではなく、数値コミットメントを取締役会決議として示している点が重要だ。
今回の中期経営計画では、大型の投資が見込まれる時期においても安定的な株主還元を継続できるような資金運用を目指すと明記されており、大型成長投資案件が生産を開始した後は、財務健全性に配慮しながら株主還元の拡大を図る方針が示されている。
「投資が増えても還元は守る」——この一文が、私にとっては最大の安心材料だ。

INPEXへの私の結論——「保有継続」だが「主力銘柄」ではない理由評価をまとめる。

財務の強さは本物だ。増配の意志も数字に裏打ちされている。
だが、私がINPEXを「メインポジション」に置かない理由がある。
原油・天然ガス価格という「コントロールできないリスク」が利益の大半を決める構造だからだ。
一条工務店の変動金利ローンを抱えている私は、生活費がギリギリの局面でも配当が安定的に入ってくる銘柄を最優先したい。INPEXは「資源価格が崩れると利益が激減する」性質を持つ。保有するなら、ポートフォリオの10〜15%以内が私の上限だ。
この先、「何円になったら買い増しを検討するか」という具体的な株価水準と、原油価格シナリオ別の配当シミュレーションは有料ノートで公開する。

https://note.com/lively_tulip856/n/ncadb25e20f17

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資の判断は各投資家等の責任によります。

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